みなさん、こんばんは、あのつぎはイです。おそくなりましたが、前回の記事の続きとなります。今回はディベートで実際にフローシートを書く上での方法やポイント、注意点を書いていこうと思います。
ちなみに、実際にフローシートを書いてみたいという方は、お住まい近くのディベート甲子園地区大会に見学者としてご参加頂いて、そちらの試合で書いてみるのが一番だと思います。たとえば東海地区の地区大会は2025年度は7月12,13日に椙山女学園大学の星が丘キャンパス現代マネジメント学部棟で行われますが、見学は無料で自由(ただ参加された方の人数を把握したいので受付で見学希望とおっしゃってください)なので、是非参加してみて下さい。
ということで、ディベートでフローシートを書く方法を説明していきましょう。
ちなみに、ディベートってどんなもの?からスピーチのパートの説明まで、今までの記事で紹介していますので、もし宜しければそちらもどうぞ。
ディベートって何 議論や弁論と何が違うのか 個人的な経験や考えも添えて
ディベートで扱われたことのあるテーマって?(準備の必要なテーマからすぐにやれるテーマまで)
ディベートの試合の進め方 競技ディベートは話す順序が決まっています
ディベートでいう立論とは 3つの構成要素と2つのお助けアイテム
ディベートの質疑を考える セミナーとかでも使えるので先にやります
ディベートの第一反駁 皆のイメージする「異議あり/はい論破」はここにある!?
用意する物
まずはフローシートを作成するにあたり、用意した方が良い物を一覧にしましょう、ドーン!
- 紙
理想は1試合でA3用紙2枚(白紙?) もしくはA4ノート(無地) - ペン
お気に入りのペン(私は「ユニボール シグノ 極細 0.38mm」)
最低でも2色 できれば3色(私は5色) - クリアファイル
あると便利 - タブレット!?
紙の代わりにタブレット、最近増えているようです
一個ずつ解説していきます。
紙
説明不要、記録を残すための原始的な紙。フローシートを格上でこれほど必須な物も無いでしょう。ただ、最近タブレットなど電子で記録を残す人も増えてきているそうで、紙派の私としてはちょっと少数派にならないか心配…
まず大きさ。
理想を言えばA3用紙、メリットの話とデメリットの話を分けてかけるとgoodなので、可能なら1試合で2枚。
なんなら時間の長い試合だとメリットに2枚、デメリットに2枚で合計4枚使用したりします。
逆に短い試合だと1枚ですむこともありますが、最初は2枚/試合で用意した方が無難ですね。
ただ、紙だと無くしやすいんですよね。そこで、A4ノートを見開きで使う手もあります。こちらは無くす頻度が大幅に減りますが、間の溝が邪魔と言うことで、私は使用しておりません。
次にデザイン。こちらは「白紙」か「パート毎に区切りの入っている物」をお勧めします。罫線や方眼が入っていると、書いている文字が上手く入らなかったりして書くのにストレスが溜まります。白紙の紙を用意して自分でパート毎に罫線を書くか、紙に罫線を印刷するか、どちらかが良いと思います。
「パート毎に区切りの入った紙なんて便利な物あるのかよ!?」ですって?
ご安心下さい、ディベート甲子園のルールであれば、こちらのPDFファイルを紙に印刷して頂ければできちゃうんでうす、ジャーン。
肯定側フローシート
否定側フローシート
便利でしょ?こちら、立論が1回のディベートでご使用頂ける優れものです。
さらにこのプリントが便利なのは、議論を各欄の上部に名称が振られており(かっこよく言えばラベリングされている)、今の時間帯はどこに書けば良いか分かりやすくなっているんですね。
スピーチの順序についてはこちらの記事も参考にして下さい。
JDA?KODA?2立? ディベート知っている人でしょ、自分で用意して下さい。
A3用紙を印刷するプリントがご自宅に無い場合は、A4用紙に一枚ずつ印刷して、そちらをコンビニなどで拡大コピー(141%の拡大コピー)してもらえれば、準備はできるかと思います。
続いて、その紙に書くペンをご紹介していきましょう。
ペン
こちらは紙に比べると、個人の感覚が大きいところがあります。お気に入りのペンで書いてもらえればヤル気もUP!ということで良いと思いますが、ディベートの試合でメモをとるとなると、早口をメモすることになるので、
・書きやすいこと
・あまりにじまないこと(手が結構すれる)
・なるべく細字(こちらもニジミに関連する)
を兼ね備えたペンであることが理想です。
私が愛用しているのは、下のユニボールシグノ 極細0.38mmです。
上は青色を出しています。
何色用意するかについては、書く人の立場とかも関係してきます。
最低ラインとしては、肯定側の話と否定側の話を分けて書きたいので、二色は必要かと思います。つまり
肯定側が話しているとき=青色
否定側が話しているとき=赤色
という感じですね(メリットの紙がすべて青色で、デメリットの紙がすべて赤色、というわけではないですよ)。
ただ、ディベートの試合というのは、その性質上審判が必ずいて(いて欲しい!)、その審判のコメントも書いて欲しいし、できれば書いているYOU!の意見も書いて欲しいから
① 肯定側のスピーチ=青色
② 否定側のスピーチ=赤色
③ 試合中や試合後の書いているYOUのコメント=緑色
④ 審判の講評やアドバイス、試合の判定理由=紫色
の4色 を提唱します。ちなみにユニボールシグノなら4色すべて揃います(笑)
え?私? …5色(肯定側、否定側、自分の判定や講評に関わるコメント、コミュニケーションに関わるコメント、他の審判のコメント、で5色)
クリアファイル
あると便利、以上。
いや、紙って無くすんですよ。なので、大会期間中(ディベート甲子園なら、地区大会が1-3日、全国大会なら3日)の間、無くさないように大会毎のクリアファイルを用意しています。年度を超えると中身を捨てていく感じ。なので練習試合の日取りが多いとクリアファイルの数がたくさんになります。
もしくは、ファイルを用意してそこに挟んでいくでも良いと思います。準備型のディベート大会なら該当する論題の試合のフローシートは、そのファイルに挟んでいけば良いし。
使うなら、色も分けられるこの辺りでしょうか。
実際私も全国大会中は使用したりします。できるだけ多めに入る物を愛用していますが、最初はポケット数は少なくても良いと思います(20ポケットがあったと思う)。
では、ようやく実際の書き方を説明していきましょう。
実際の書き方と工夫
紙も用意しました
ペンも用意しました
フォルダも用意しました
あとは書くだけです!
とは言っても、フローシートの書き方って、
基本 自由!
なんです。自分なんかが書いているときは
枠に従い、左の枠から順に書いていく(スピーチが進む毎に右の枠へ移って書いていく)
メリットのページとデメリットのページを取り違えないようにする
書いている最中や、書いた後に見返したときに、
分かりやすく書いてあればOK
できるだけ沢山のスピーチを書き取れているとBetter!
ぐらいしか気にしていません。なので、ちゃちゃっと書いても大丈夫です。
ただ、慣れてくると、分かりやすさや、スピーチ入力を沢山する上での工夫が多くなります。ここをもう少し深掘りしましょう。
ということで、具体例があった方が良いと思ったので、試合をした選手の皆様から同意を頂けた試合のフローシートです、ジャーン(フローを書いたのは私です、選手の皆さん御快諾いただきありがとうございます)。
論題は「日本はすべての学校で飛び級を認めるべきである。是か非か。(小学校~大学1年生に飛ぶ事を認める)」となります。
どうです、見えます?笑 無理でしょ、私もそう思います笑笑
なので、一部拡大して工夫しているところをもう少し説明していこうと思います。
それがこちら、ドーン

図にも書きましたが、補足していきましょう。
①、② 試合の状況を記載しよう
こちらは後で見返すようですね。多分下のような内容が書かれていれば大丈夫だと思います。
論題(これが無いと始まらないからね) 日付(年も書いておくと便利) 会場(部屋番号とか)
試合の番号(予選2試合目とか準決勝とか) 対戦カード(肯定側と否定側) 審判名
③ 色は分けて書こう
これはペンの説明でもしたとおりです。
可能なら、肯定側と否定側、それから審判の講評用に3色用意しましょう。
注意点がありまして、
フローシート毎に色を変える
ではなく
肯定側のスピーチと否定側のスピーチで色を変える
を意識して下さい。質疑と第一反駁は同じ色ですが、そこを除けばフローシートは左から右へ交互に色分けされているかと思います。
④ 略語を使っていこう
こちらは沢山の議論を書いていくためのテクニックですね。
ディベートでは、
・ディベートそのものでよく使われる言葉
・論題毎によく使われる言葉
があります。それらをいちいち正式に書いていたりすると、とてもでは無いですがスピーチを沢山かけなくなってしまうので、
自分で勝手に決めた略語
を多用することになります。
そうです、自分で勝手に決めて下さい。多いのは下のようなところでしょうか。
メリット:M
デメリット:DM
内因性:N
解決性:K
重要性:I
固有性:K
発生過程:H
深刻性:S
上がる、下がる:↑、↓
あとは、画数の問題で、同じ言葉でも一般的に
カタカナ<ひらがな<漢字 で画数が多くなります。
なのでカタカナも多用されますね、特に国名(ドイツとかイタリアとか。アメリカは米、フランスも仏の方がよく使われるかも)。
⑤ 質疑や反駁は立論の該当部位が分かるように線でつなごう
こちらは議論の展開を追うのが楽になるように行う手法です。
基本的に質疑や反駁は、相手が提示した立論(メリットやデメリット)に対して行う物です。
そのため、反駁には必ず相手の立論の該当部位が存在します(だから立論全体に反駁する派嫌いなんです)。そこで、その該当箇所が分かるように、線でつなぐことが基本です。
さらに言えば、
質疑も反駁も、上からスピーチ順に書いていくのでは無く、立論の該当箇所の直ぐ右側に書くべし
と言えます。例示の図でもそうなっているんですよね(動画で一度フローを描いている姿を上から見て欲しい、ほんとスピーチ順に上から書いていることは無いから)。
⑥ 余白に審判の講評、アドバイス、判定理由などを書く
色変えて書きましょう。審判で講評していると、観客席が全くメモをとらずに話を聞いている時があって(というか大半)、
え? 話聞けてる? 大丈夫? 後で思い返すの大変ちゃう?
とか思うんですが、どうなんですかね。
審判として話をしている時は(時も)、メモ、とって欲しいですね。
ちなみに私、試合のスピードに応じて自身の話すスピードも変えています。そうすることで、「あれ?意外とメモできない/理解に時間がかかる」事が分かるかと思うので。
よくある見にくい例
上で書いたように、フローシートの書き方に成功も失敗も無ければ、上手いも下手もありません。皆さんが書いたフローシートが、正しいフローシートです。
ただ、見にくいフローシートはあると思うので、その例を出してみようと思います。下のような感じ。

少しだけ説明しましょう。
①略語が使われていない
こちらは書き始めたときによくあるパターンです。決して悪いわけでは無く、慣れればどうとでもなるので気にしないで下さい。
なんなら、証拠資料を探すときとか略語にせずそのまま書いた方が良いときあるしね。
②証拠資料が囲われていない
こちらは資料ありのディベートを行う際によく起こすやつです。
証拠資料が囲われていないと、別に見るだけならいいのですが、主観的議論なのか客観的議論なのか、ちょっと分かりづらくなるので、できるだけ資料のところは分かるような表記を心がけましょう(L字みたいな囲いでも良いし、完全に四角でも良いし)。
注意としては、「準備時間中など、あとで四角書こう」と思っていると、書かずに終わるケースが多いので、必ず当該時間中に書いてください。
③発生過程の始まりが分かりづらい
Hの書き忘れですね、これくらいなら準備時間に書き足しましょう。
え?書き足すのはいいのかって?
良い質問ですね。
そうです、ディベートはスピーチ時間が終わった後に思い出したことも書いて良いんです。
ただし、あくまでスピーチがあった内容だけですよ(感想などのコメントは別の色にしましょうね!)
④縦では無く横に書いている
これすると、直ぐ右に書かれる反駁が書きづらくなります。
⑤反駁が上から話す順になっている
立論は良いんです、話す順番に書いていけば。
質疑や反駁は、可能なら該当する立論部分の直ぐ右隣に書きましょう。
その方が、直ぐにかけますし、内容が頭に入りやすいです。
該当する立論部分をキチンと話すことも反駁の大事な役割ですし(詳しくはこちらの記事を)
⑥どこへの反駁か矢印が無くて分かりづらい
⑤と同じですね。
⑦色分けがされていない
これ初心者あるあるです。気にせずドンドン書きましょう、そのうち慣れます。
それでも色分けができるようになるか不安な方もいるでしょう。では、どうしたら慣れるか。
実際に選手としてディベートをやってみよう!
いやでも色分けできるようになります。
実際に書いてみよう!
この方法で、早速ディベートを聞いてフローシートを書いてみたい人もいると思います。
たとえばですが、最近ディベート甲子園は全国大会中の全試合(地区大会は除く)をYoutubeに載せてくれています。太っ腹!
たとえばこの試合とか:後輩が優勝した当時の動画ですね。15分40秒当たりから肯定側立論が始まります。救急車を有料化すべき、という論題なので、医療職なら聞きやすいかもしれません(速いけど)
まとめ
いかがだったでしょうか。フローシートの書き方、2回に分けてみましたが、それでもかなりの分量になりましたね。
ですが、これで後は練習あるのみです。
私が所属する全国教室ディベート連盟(私は東海支部)では、中学生や高校生を対象に毎年ディベート甲子園を開催しています。毎年春に論題発表→6-7月に各地区で地区大会が行われ、地区代表が8月の全国大会で日本一を目指します。
まもなく地区大会が行われます。どの地区も観戦は原則無料のはずです。観戦の諸注意などあると思いますので不安な方は各支部に連絡をしてもらえればと思いますが、足を運んでいただいて、実際のディベートをフローシートを書きながら観戦してもらえればと思います(私も7月12,13日に行われる東海地区大会はスタッフとして参加する予定です、支部のホームページはこちら)。
それでは皆様、have a nice day and see you next day!