皆様こんばんは、あのつぎはイです。久しぶりの記事投稿、やっていきます。
今回はタイトルの通りディベートネタです。本当は自分が所属している全国教室ディベート連盟東海支部が主催する中学高校のディベート春大会が開催される前に投稿しようと思っていたんです。
が、すでにこちらのページにある通り実施されてしまいました。優勝されました中学の部の愛知教育大学附属名古屋中学校A、高校の部の市立札幌開成中等教育学校のみなさん、おめでとうございます!
とはいえ、今までの記事の続きで言えば、質疑、立論ときて次は第一反駁ですので、今回は第一反駁について説明していきたいと思います。
今回の記事でお伝えしたいことは
- 第一反駁って何をすればいいの?
- 反駁の4拍子って何?
- 4拍子の中身は?
- 第一反駁の準備って?
この辺りを説明できればと思います。それでは早速やっていきましょう。
ちなみに、立論と質疑のパートを解説している記事は以下から閲覧いただくことができます。
第一反駁って何をすればいいの?
それでは、まずは第一反駁ですべきことを話していこうと思います。
おそらく皆さんが議論とか討論とかでイメージする「はい論破!」とか「異議あり!」というのが、ディベートでは第一反駁のパートに近いかなと思います。とはいえ、実際の試合で「はい論破!」とか言っている人見たことないですけど(いたら印象めっちゃ悪いだろうなー)。

基本的なお仕事は以下の二つです。
- 相手の立論への反論
- 相手からの反論への再反論
ただ、否定側と肯定側でやや様相が異なるので、少しだけここで解説しておきます。
否定側第一反駁のお仕事
否定側第一反駁のお仕事は基本的に
相手=肯定側=メリットに反論する
の一点です。二立論制とか、もしくはデメリットの再構築をここでしたいとかだと仕事量が増えますが、一立論制の中学・高校生がやっているディベートで話を進めるなら、メリットへの反論が仕事になります。
肯定側第一反駁のお仕事
肯定側第一反駁のお仕事は
- 相手=否定側=デメリットに反論する
- 否定側第一反駁から来たメリットへの反論へ再反論する
の二点です。
この時点で、
「同じ時間で肯定側第一反駁は否定側の約二倍の仕事量をこなさなければならない」
となります。具体的には
否定側第一反駁 肯定側立論6(4)分の分量を4(3)分で反論する
肯定側第一反駁 否定側立論6(4)分+否定側第一反駁4(3)分の分量を4(3)分で反論する
となっています。さらに、反論までの準備時間についても
否定側第一反駁 肯定側立論終了→否定側質疑→否定側立論→肯定側質疑(最悪ここは聞かなくても良い)→ここで反論
と、それなりのゆとりがあるのに対し、
肯定側第一反駁 否定側立論→肯定側質疑→否定側第一反駁→ここで反論
と時間的なゆとりがほとんどありません。
なので、一般的には肯定側第一反駁にはチームのエースを持ってくることが多いですね(もちろん皆さん得意不得意がありますが)。
反駁の4拍子って何?
続いては、先ほどの反論という言葉について、具体的に説明していこうと思います。
そうすると、ディベート界隈ではよく「反駁の4拍子」という言葉を使います。
反論というのは、やり方は個々の話し手のやり方によって異なる、というのも確かですが、立論と同じで初心者向けにある程度やり方(話し方)が決まっています。その方法が4拍子なんですね。
その4拍子ですが、概要はこちらです。ドン!
- 引用=サインポスティング:どこへ反駁するか
- 主張:何を言いたいか
- 肉付け=根拠:その主張を支えるものは何か
- 結論:以上から相手の何を否定したいのか
オリジナリティあふれる反論を展開したとしても、突き詰めて考えれば上の4点を話していることが殆どです。なんだったら順番もこの順で話していることが多いですね。
つまり第一反駁のスピーチというのは、
1つ目の反論:4拍子に沿って説明→2つ目の反論:4拍子に沿って説明→以下繰り返し→時間終了
という流れと言い換えてもいいかもしれません。
この4拍子について、更に一つ一つの項目を詳しく説明していきましょう。
4拍子の中身は?
一個ずつ説明します。それぞれの話し方の代表例を緑色で書いていきますので、参考にしていただけると嬉しいです。
1. 引用=サインポスティング
まずはこの「引用」という部分です。
ディベートを少しやったことのある方々なら、「引用というのは資料を読む時に使う物であって4拍子の項目ではないぞ!?」とおっしゃるかもしれませんが、他に適切な日本語が無く、仕方なしに使用していると思ってください。
ここは、ディベートの基本である
第三者を説得するために、自分のスピーチを分かりやすくしている
と思ってください。
例えば「メリット1の内因性の3点目を見てください、反論します」なんて言ったりします。
個人的な感想ですが、ディベート甲子園の試合でよく
「メリットの解決性の3枚目の資料を見てください」
というサインポスティングをしている選手がいます。
審判はたいていフローシートを書きながら(ここも今後説明していきたいですね)試合を聞いていますので、問題になる事は多くないのですが、聞き逃していたりすると、3枚目が2枚目になっていたりします。こうなると聞き取るのに苦労が発生するので、出来れば
「メリットの解決性の3枚目、○○ということに反駁します」
と、1-2単語で良いので○○と言ってくれると聞き取りやすさが非常にアップします。ただ、著者名とかは止めてください、あくまで中身を話してくれると嬉しいです。
2. 主張:何を言いたいか
これは4つ目の結論と同じです。ようは、先に結論を話すというものです。
主張=結論の内容としては、個人的には大きく3種類に分かれるかなと思います。
- ダウト:疑問符をなげかける
「本当に起こるか分かりません」「いつもそうなるとは限りません」 - 否定:真っ向から否定する
「それは違います」「○○から▲▲とは言えません」 - ターンアラウンド:むしろ反対の結果が起こると主張する
「むしろメリットです」「解決しないどころか問題が起こります」
ダウトとか、ターンアラウンドとか、すこし専門的な言葉を使っていますが、仮に言葉を知らなくても、緑のような言い方さえ知っていただければ、何をしているかはわかっていただけるかと思います。
ポイントは某国の議員さんみたいな、何を言いたいかよくわからない迂遠な表現にしないことです。

ここはズバッと、違うなら「違う」、疑問を呈するなら「本当に起こるか分かりません」とはっきり話すことが大事です。
これを言わずに3つ目に進むと、審判側からすると何を言いたいのか分かりづらいという事になります。ぜひ、主張してから肉付け=根拠の説明に進みましょう。
3. 肉付け=根拠:その主張を支えるものは何か
ここでは、先ほどの主張を支える根拠を説明します。裁判だと証拠品を提出する場面と考えてもいいかもしれません。

第一反駁で資料の提示が登場するのはここでしょう。例えば
「なぜなら○○から▲▲が起こるのはたった1%だからです。資料を引用します。東□大学、宮△、2012、~~~、引用終了。」
こんな感じです。
ここで大事なことは
「なぜなら~だからです。」
という言葉が使えるかどうかですね。
誤解しないで欲しいのは、根拠には必ず資料=エビデンスが必要というわけではないです。例えば一般常識に照らし合わせて説明したり、他のロジックを説明したりすることも可能です。
たとえば、コンビニ24時間論題とかで、駆け込み寺のような機能がデメリットで出てきたりしますが
「デメリットでコンビニが24時間で営業しないと、深夜の駆け込み場所が無くなり身の危険が起こると言っていますが(ここまでが引用=サインポスティング)
それは違います(これが主張)。
なぜなら、最近は携帯やスマホなどを所持していることが殆どで、仮に事件に巻き込まれても直ぐに警察に連絡をすることが可能だからです(これが肉付け=根拠)。」
こんな感じで、資料が必ず必要というわけではないことに注意してください。
4. 結論
ここも忘れてはいけません。先に主張として話していますが、必ず最後に結論を話します。その時に言い換えをするのはありです。
例えば、上の3.で書いたコンビニ論題の反論だと、主張としては「違います」と言っていますが、最後の結論を
「よってコンビニが無くなっても身の危険が起こることはありません」
としてもいいでしょう。こうすることで、審判としては、今までの一連の反論が何を言っているか理解が早まり、次の反論へ進むのが非常にスムーズになります。
小まとめ
以上が反駁の4拍子となります。そして、これが一つのポイントを反論するときの一連の流れとなります。後は、この流れを続けていけば、多くのポイントを反論することができるようになるわけです。
第一反駁の準備って
最後は、この準備の仕方です。方法はいろいろありますが、個人的な準備の仕方としては次の通りです。
- 立論作成の時に使用したリンクマップを利用して、反駁を書き込んでいく
- 書き込んだ反駁のうち、資料が必要なものは資料を探す
- 反駁を1つずつカードとかにまとめる
最後のカード化が最近変わりつつあるので、この辺りは個人の好みかもしれません。
リンクマップを利用して反駁を考えていく
今回大事にしたいのはここですね。
以前の記事で、立論を考える時にリンクマップを利用しようといいましたが、その時に
リンクマップでは、出た意見は否定せずにすべて書き込む
と言いました。それが、ここで生きてきます。
そうです、否定するなら、それをリンクマップに反駁として書き込めばいいのです!
自分としては、一度リンクマップを書いてから、コピーして白黒にして、反駁用に改めて書いたりします。この時に肯定側第一反駁なら青色、否定側第一反駁なら赤色で書くというルールも作っていたりします。
以前の立論の記事で作った救急車論題のリンクマップを活用して、少し反駁を書き込んでみました。その絵が下の写真です。

いかがでしょう、こうすると、否定した内容がそのまま反駁となり、様々なメリット、デメリットへの反駁を考えていくことが可能となります。
反駁として資料が必要なら資料を探す
頑張ってください(笑)。準備が必要な理由の大部分はここでしょうね。
ただ、やはり事前準備は資料探しだけ、ではないことを上の話で分かってもらえると嬉しいです。
反駁をカード化する
ここが最近変化しているような気がします。自分は反駁を作るとき、反駁の4拍子になぞらえて下のような情報カードに反駁を一つずつ作っていました。
実際には、このカードに直接手書きをするわけではなく、
1.予めパソコンで作成しておき(wordでもexcelでも、今ならgoogleのドキュメントとかスプレッドシートでしょうか)
2.それを印刷してカードに貼り付ける(サイズは多少ずれても、折りたためばいいです)
という感じになります。なので、カードはB6あたりがおススメです。A6もありますが、印刷した用紙(大抵はA4でしょう)を貼ることを考えると、若干貼るのが大変になります。
下のは穴のないA6サイズです。
リングでまとめることを考えると、上で紹介したように2穴とか穴が開いている物がいいですが、少しお高くなりますので、自分で開けるorリング以外の方法を考えるとして、穴の無いカードで作ることも可能です。
下が穴無しのB6です。
ただ、最近はわざわざカードにまとめたりせず、wordで反駁を作って、それを試合中に直接利用する方法がとられていて、時代に合わせた省エネ作戦だなーって感じたりしています。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はディベートのパートのひとつ、第一反駁を説明してきました。
はい論破、とは言いませんが、ディベートらしいパートであることは確かです。この記事を参考に第一反駁をやってみる人が増えることを祈っています。
それでは皆様、have a nice day and see you next day!